「昨日の話は、
ゆっくりと考えてくれれば良いから。」

帰り際にそう言われて、
家族旅行は終了した。

私は一人、家に帰る。

家?
帰る場所?

私の帰る場所は、
家族の元なんだろう。
そこに何の不満も感じてない。

だけど、
私はどうしても、ダメなんだ。

家族が悪いんじゃない。
私が我が儘だからなんだ。

ふと、手元を見る。

優香さんに言われて買った
恋愛の勾玉。

私は、
気づいてしまった。


「お、滝野!今、帰りか?」

家の前まで帰ってくると
ちょうど玄関から出てきた先生に
声をかけられた。

「あ、先生…
はい。今、帰りました。」

私の居場所に…
私がいたいと思う場所に…




「おかえり。」



……………っ!!!!!



「あ、あ…
た、ただいま、で、す…」



ああ、もうダメだ。



「滝野!?どうした?
なんで泣いてるんだ?
旅行、何かあったのか?」



私は先生のそばを離れたくない!
先生と同じアパートの住人でいたい!



だって私は、

先生に、

"恋"

してるから。