配られたのは白地図。
しかし、境界線が、47都道府県ではない。

「せんせー!これ、線の場所、
おかしくないですか?」

誰かが言う。
まあ、昔の国名テストってとこだろう。

「なんで、現代の白地図だと思った?
俺は別に、
地理の授業をするわけじゃねえぞ?」

そうだね。
クラスに笑いが起こる。

「これは昔の地図。
皆には今から10分で、
昔の国名をここに書いてもらうわけだ。
例えば、この辺、昔の国名はなんだ?」

皆に見えるように白地図を指し、
質問した。

誰も答えない。

んーと、武蔵とかだったか?
まあ、答えないけど。

「おいおい、誰もわからないのか?」

クラスが静まる。

「江戸?」

静寂の中、一人の子がようやく発言した。

「惜しい!間違ってはないけど、
それは、国の一部の地名だ。
東京都中央区と同じような意味合い。
正解は、武蔵。だから、
武蔵の国の江戸ということになる。」

お、武蔵で当たってた。

「まあ、こんな風にやってほしい。
というわけで、はい、始め。」

ざわついていた教室も静かになり、
ペンを動かす音が響く。

山城、丹波、摂津…
私もわかる有名なところから埋めていった。