「日本史の谷中先生?」

「そう。
なんでも、すっごい人気らしい。」

「ほほう。聞こうではないか。」


授業開始日。

一限、古典。
二限、体育。
からの休み時間。

次の授業までの10分で
体育着から制服に着替えるのは、
結構大変だったりするが、
幸い、体育の広田先生は優しいので、
少し前に授業終わらせて、
着替えの時間を多めにとってくれた。

体育が嫌いな私には、
授業時間が減るのは、
万々歳である。

「まず、イケメン。
授業が面白い。
優しい。
イケボ。」

イケボ?

「質問!」

「はい、滝野さん。」

「高橋先生、イケボってなんですか?」

「イケメンがイケてる面ってことなら、
イケボはイケメンボイスの略。
声がカッコいいってこと。」

「なるほどね。
イケメンでイケボって最強じゃねえか。」

「そう、最強なの!」

「ありえないだろ。
やっぱり女子校怖いわ。」

女子校においてのイケメンの基準は、
異常に低い。

例えば、先ほどの体育の広田先生。
彼は私基準だと至って普通の外見をしてるが、
若いというだけでイケメン扱いである。


そして…

「授業も面白いのか?
雑談が長いとかではなく?」


女子校では、
授業より、雑談が長い先生は人気だ。

先生の雑談時間を延ばすため、
クラスが一丸となる時もある。

授業はつまらないのに
雑談が面白い先生は結構いる。

どれだけ授業を受けたくないんだ、
我々は。

ちょっと冷静になってしまった。