そんなこんなで、
ホームルームも終わり、
夕方になって帰宅した。


「ただいまー」


声に出したところで返事はない。


「お母さん、ただいま。」


母の写真に挨拶をする。
母は三年前、私が中学に入学した頃、
病気で他界した。


そう、私はひとりなのだ。


外が暗くなってくるこの時間、
一番、一人でいるのが寂しくなる。


だから、テレビをつける。
夕方のニュースをやっていた。
部屋にニュースの音が流れる。
静かすぎた部屋にようやく音が生まれた。



「あ…」


ふとテーブルに目を向けると、
今朝の朝食がそのまま放置されていた。

そうだった。急いで家を出たから…


すっかり冷めてしまった
モーニングコーヒーを飲みつつ、
片付けるために台所に向かうと、


窓の外から数人の話し声が聞こえた。


ちなみにこの部屋は二階。
外階段で上がるようになっている。

一階にも部屋があるが、
今は人が住んでいない。


しかし、窓の外、
一階の部屋の玄関付近で、
数人の人が話している。

段ボールとかを持っているところを見ると、


もしかして、引っ越し?


誰かが新しく住むのか。

どんな人だろう?
怖い人じゃないといいな。

こちらから、挨拶にいくべきか?
でも、怖い人だったら嫌だし。

普通は引っ越してきた方から来るよね?
だから、まあいいか。


この時は呑気にそんなことを考えていた。




まさか、この下の階の住人に、
私の高校生活が
狂わされるとは




この時は思ってもみなかった。