ふと手元をみると、
さっき乱暴にとってきた郵便物。

電気代の明細書から、
予備校の案内とか、
洋服の店のダイレクトメールとかまで、
私宛に届いている。


その中のひとつに

"谷中 守様"

間違って先生宛のものが混ざっている。

…郵便配達のおにいちゃんよ、
なんでこんな時に間違えたし。

ん?

いや、ちょっと待て。

これを届けに行くというのはどうだ?

そうすれば、
もし仮に彼女さんがいたにしても、
間違って届けられた郵便物を
届けに来た人、
ただのお二階さんとして通用する。


私は天才か。


いや、普通に先生の郵便受けに
いれときゃいいだろって話だけど、

そこは、思いつかなかった!
てへぺろーでどうにかなる。

誰とも知らぬ郵便配達の人よ、
ありがとう。

私はさっそく、
一階へと足を踏み出した。