おとななこども

彼が見つめるその視線は、愛おしそうだった。

まるで、我が子を思う親のように。

「大切、なんですね」

あたしは言った。

あたしは生け花のことは何にもわからないけど、会長の作品に対する思いは理解できた。

「大切です」

会長は呟くように言った。

「大切だから…寝ないで考えて、考えて生けて、生けて命を吹き込んで。

こんな僕に、平岡さんは呆れましたか?」

会長があたしに視線を向けた。

「えっ?」

いきなり向けられたあたしは返すことができない。