トーゴちゃんはふうと息を吐くと、
「俺はカツ丼よりも牛丼が好きなんだよ」
と、言った。

あれ?

デジャヴ?

いや、今はそんなことを思ってる場合じゃない。

「一体何があったって言うの?」

あたしはトーゴちゃんに聞いた。

「子供は知らない方がいい」

トーゴちゃんが返した。

「何よそれ?」

あたしは聞き返す。

子供は知らない方がいいって、言っている意味がわからないんだけど。

「大人の事情ってヤツだ。

ほら、途中まで送ってやるから帰るぞ」

トーゴちゃんがあたしの腕を引っ張った。

「わわわっ、歩けるから」

トーゴちゃんに連行されるように、あたしはその場を後にした。