おとななこども

お弁当を広げたあたしに、
「つぐみんの方がよっぽど美味そうじゃねーかよ。

さすがシェフ志望だな」

トーゴちゃんは言った。

「たまご焼きをくれるって言うなら、エビフライ出すよ?」

あたしは得意気に笑いながら返した。

「ったく、人の足元を見やがって…」

トーゴちゃんは呆れたと言うように呟くと、あたしにたまご焼きを差し出したのだった。

「はい、エビフライね」

「ん」

あたしはトーゴちゃんのお弁当にエビフライを入れた。

「時間ねーから早く食うぞ…」

言い終わった瞬間、トーゴちゃんは青い顔をした。

「どうしたの?

具合でも悪くなった?」

青い顔をしたトーゴちゃんに聞いたあたしに、
「いや…食うぞ」

トーゴちゃんはモソモソとエビフライをかじったのだった。

一体何があったんだ?