おとななこども

「いいじゃないのよ、あたしたち幼なじみになんだから。

あ、お弁当美味しそう」

たまご焼きに指を伸ばしたら
「オメーだってつぐみんが作ったヤツがあるだろうが」

トーゴちゃんはお弁当を横にずらしたのだった。

つぐみちゃんのことは“つぐみん”と呼んでいる。

「もしかして例の彼女?」

左手の小指を立てたあたしに、
「アズにぃだよ!」

トーゴちゃんは返した。

“アズにぃ”とはトーゴちゃんの家の隣に住んでいる幼なじみの梓くんのことだ。

「何だ、あっくんか」

あたしはガッカリしたと言うように返した。

あたしは梓くんのことを“あっくん”と呼んでいる。

リコちゃんは“あーちゃん”って呼んでいた。