あたし…何逃げているんだろう?

会長はあたしが彼を好きになるもっと前からあたしのことが好きで、何回も何回も数えきれないくらいにアプローチしてきた。

あたしはそんなアプローチに呆れて、場合によっては毒づくこともあった。

ひどい時は、弁当箱で会長の頭を殴ったこともあった。

会長のアプローチを受けるうちに、あたしは彼にひかれていた。

会長に恋をしていた。

会長はあたしのことが好きで、あたしも会長のことが好き。

両思いだ。

なのに…あたしはどうして会長から逃げているのだろう?

「――わかりました」

目を伏せたあたしの唇から、言葉がこぼれた。