おとななこども

あたしと手を繋いだまま、会長は歩き出したのだった。

「映画館は確か、この道であっていましたよね?」

歩きながら会長が聞く。

「そうですね、あっていると思います」

歩きながらあたしは答えた。

代償とは言え、何でこうなったんだって言う話である。

たかが会長と一緒に休日を過ごすだけなのに。

「いい天気ですね」

楽しそうに話しかけた会長に、
「そうですね」

あたしは返事をした。

会長は、気づいているのだろうか?

すれ違う人たち――特に女性たちの視線が、会長に向けられることに。