おとななこども

何だ、結局言えないんじゃん。

「いい加減、あたしのことはあきらめたらどうですか?」

口を閉じた会長に向かって、あたしは言った。

「あたしが会長を嫌っているって言うことが、もうわかったでしょう?」

「残念ですけど、あきらめません」

会長が笑いながら言った。

今度はあたしが口を閉じる番になった。

「僕もあきらめが悪いのでね」

会長はそう言った後で、
「特に、好きな子に関しては」

あのデレ甘い笑みを、あたしに見せたのだった。

…この笑みに糖尿病にならない自分の丈夫な躰が憎い。

足はねんざしたけど。