「――か…いちょ…」

会長の胸を押して、唇を離した。

会長の唇にはグロスがたっぷりとついていた。

あたしの唇にはグロスがほんの少ししか残っていなかった。

委員長にしてもらったのに…。

「――桃さん…」

会長の顔が近づいてきて、また唇を重ねられる。

あたしは会長の唇を受け入れる。

会長なんか嫌いなはずなのに。

妹のことを溺愛しているシスコン会長なんか、大嫌いなはずなのに。

なのに会長にキスされていることを拒否できないあたしがいる。

2人しかいない屋上で、桃の匂いに包まれながら、あたしは会長の唇を何度も受け入れた。