「よーくお似合いですよ、平岡さん」

ここにも1人、あたしをムッとさせるヤツが…。

「わー、会長すごく似合ってるー!」

委員長が両手をあわせて喜んだ。

「光栄です」

王子様の衣装を身にまとった会長はニコッと微笑んだ。

その微笑みに秒殺されたと言うように、委員長とクラスメイトの女子たちは目をハートにした。

「王子様役に選ばれたのが会長でよかった…」

委員長ははあと悩ましげなため息をもらした。

…いたよ、ここにも乙女妄想を繰り広げる人が。

冷めた目で委員長を見つめるあたしに、
「平岡さん」

会長が声をかけてきた。

「はいはい、似合いますー」

あたしは棒読みで返事した。

「ありがとうございます」

棒読みで返したにも関わらず、会長は嬉しそうに微笑んだ。