「利用していいよ。
忘れる道具にでもなんでも。
だって俺は朝霧が好きだから…
そばに入れるならそれで幸せだから。」
「ううん。それはいつかきっと嘘になるよ。」
「えっ?」
「私、好きだよ。樫野くんのこと。
でもその好きは工さんへの好きとは違う。
だからもし今、樫野くんと付き合っても
きっといつか樫野くんを傷つけちゃう。
それはイヤだ。
樫野くんに好きになってってもし言われても
私はきっとできないから…。」
私は彼の目をまっすぐ見つめる。
「いつかきっと現れるから。
樫野くんが愛し愛される人
私はその人じゃない。
絶対幸せになってね。」
そうして私は彼に微笑みかける。

