「マコト?」
「ボク、絶対、負けない。このクラスで、優勝したいもん。林くんだったら一位になれたのに、なんて、言わせない」


吉田が、困ったような、怒ったような顔をしてる。

でも。

林くんは、楽しそうに、笑った。


「ああ。負けんなよ。誠」


ずっと。

林くんは、信じてくれてたよね。
ボクのこと。

最初からずっと、戦力として見てくれた。

だから。
負けられない。


「……あー、もうっ!マコト、すっかり本気モードじゃんかよっ!どうなっても知らねーからなっ!」


吉田が、汗に濡れた髪をかき乱しながら、言う。


「俺にできるのは、せいぜいできるだけ他の奴ら引き離して、一位でバトン回すくらいだからな」
「強気じゃねーか、吉田」
「俺には、マコトがいちばん可愛いの。マコトのためなら、俺史上最速で走ってやるよ」