「マコちゃん、大学どうするか決めた?」



2年生の夏に、ボクの高校では進路調査がある。



明日の終業式までに、書類を持っていくことになっていた。



なんとなく、父さんには、書類を見せられていない。



「うん、父さんは、大学行くより早く住職としての仕事を覚えろ、っていうから」

「でもマコトは、大学行きたいんだろ?」

「行けたらいいな、とは思うけど、でも、どうしてもやりたいことがあるわけじゃないし。父さんの言うことも、その通りだな、と思うし」

「マコちゃんはホントに、お父さんの言う通りだよね」

みっちゃんが、呆れたように言う。



そうかもしれない。


だけど、ボクは、いちばん大切なところで、父さんを裏切っているから。


ボクはきっと、跡継ぎを父さんに見せてあげることはできないから。


女の子に、ドキドキできない、ボクには。