「そんなこと、ないです。ボク、わざとなんかじゃなくて。だから、あの」

なんて、呼んだらいいんだろう。

ちょっとだけためらって、ボクは言った。

「おじさんのせいなんかじゃ、ぜんぜんないんです」

陸さんのお父さんが、顔を上げる。

「誠……」

「でも、ボクが死んでたら、ホントはよかったんですよね。おじさんにとっては。……だから、ごめんなさい」

「……ばかなことを言うな。誠」

陸さんのお父さんが、首を横に振る。

「なんで謝るんだ。ざまあみろとでも、言えばいいだろう。生き続けて、おまえを苦しめてやるとでも言えばいい。そうすれば俺は、おまえをまた憎むことができるんだ」