お父さんの声が、びっくりするくらい優しくて。

だからボクは思わず、目を開けた。

陸さんのお父さんは、ボクを見ている。

陸さんにそっくりな、心配そうな目をして。


「あの、ボク」

「まったく、無茶をする。子供をかばってトラックにはねられたって?死んでても不思議はないんだぞ」

「……ごめんなさい」


きっとボク、死んでた方がよかったよね。

命に別状がなくて、きっと、がっかりしたよね。

だって、ボクは、お父さんにとっては、死んでいたほうがよかったんだから。


「なんで、謝るんだ?」

「だって、ボク、生きてるから。死んでた方が、よかったんでしょう?なのに生きてて、まだ、陸さんと一緒にいて。ごめんなさい。ほんとに、ごめんなさい」

言っているうちに悲しくなってきて、ボクは、お父さんから目をそらした。