性別「少年」属性「乙女」

「まこちゃん。目が覚めた?」

みっちゃんの声。

ボクは、そっと目を開けた。

ボクの顔を、みっちゃんと、吉田が覗いている。


……そうだよね。

陸さんが、ここにいるはず、ないよね。


「みっちゃん。吉田」
「よかった。なかなか起きないからさ。心配した」
「ごめんね」


ボク、どうしたんだっけ。
救急車に乗ったあたりから、いろんな記憶が混じってて、よくわからない。


「ごめんね、まこちゃん」

え?

みっちゃんが、しゃくりあげている。
どうして、みっちゃんが謝るの?

「ど、どうしたの?みっちゃん」

「まこちゃんが、トラックにぶつかって、倒れてた時、私、怖くて動けなかった。
いつも、まこちゃんを助けるのが、私の役目だったのに。
まこちゃんがこんな怪我して、苦しんでいる時、私、一歩も近づけなかった」

「そんなこと、ないよ。
みっちゃんは、有希ちゃんの手を握っててくれた。
ボク、あのとき、とっても安心できたよ。
有希ちゃんのことが心配だったから。
みっちゃんはあの時、ボクにできないことをちゃんとやってくれてた。
みっちゃんが謝るなんて、おかしいよ。謝るなら、ボクが謝らなくちゃ。
心配かけて、ごめんね」