過去に戻れたら…

蝉の声が鳴り響く8月。




私は今とある美容室にいた。




その美容室は私の友人の果夏(かな)が働いていて、今日は髪をカットして欲しく訪ねていた。




「ねぇ、優。本当にバッサリ切っていいの?
あんなに“切りなよ”って言っても嫌だって言ってたのに…」




果夏はハサミとクシを持ち、鏡越しに私に聞いてくる。