「こなちゃん、今日のステージ凄かったです。」
ソファーに座ってテレビ画面を眺めていたこむらさんが私の方に向いてそう発した。
私とこむらさんの眺めていたテレビの前にはタツくんとキョウさんがゲームをしている。カーレースゲームだ。
頼くんと神楽ちゃんのもので、2人もよくやっているもの。
帰ってきてから1時間ほどは三人のお仕事の話の愚痴を聞いていた。
主にキョウさんとタツくんが愚痴っていたんだけど…
タツはどうだとか、ヤマトはどうだとか、ヤスチカもなんとか言ってやれ、とか。
そして、すっきりした顔のキョウさんとタツくんに神楽ちゃんの部屋を教えた。神楽ちゃんの言葉通りに漁ってきたらしい。
そして、今に至る。
「あ、ありがとうございます。こむらさんたち間に合ったんですね、よかったです。」
「本当にギリギリでしたけどね。ステージみてびっくりしました。あれで優勝じゃないってのが納得できてないです。」
そう、私は優勝ではなかった。
さらに準優勝でもなく、もらったのは審査員特別賞。
決めるのは審査員と生徒、そして来場者。来場者と生徒と審査員の点数が順位を決める。
そして私の審査員特別賞は審査員の点数のみで決まる。
つまり、審査員の目には止まったが、生徒や来場者のみんなに評価されなかった、ということだ。
おじさんの言うとおり大きい部分は"魅せる"なんだろうな…


