「あれ?こむらくん?」
「え、あ、ツツジさん?」
僕はこなみたちとお別れをして、妻と2人で人をかき分けながら帰るところだった。
すると、前からみたことある男3人が現れた。
「あ、今は"さん"ってことはプライベートなんだ。珍しいなぁ」
「まぁ…ツツジさんは審査員とかですか?」
「まさか。可愛い親戚に会いに、さ。」
「へぇ。俺たちもそんな感じですよ」
「ここで会うとは、ね」
こなみの学校でまさかこいつらに会うとは思わなかった。世間は狭いと実感する。
こむらくんたちと挨拶程度の会話を交わして、仕事があるからと僕は妻と2人であとにした。
「あの子たち、誰なの?」
妻が僕に問いかけてきた。
「僕にいつも依頼してくれるお客様だよ。」
ふぅん、世間は狭いのね、と言う妻に僕は声を出して笑った。同じことを思ってるなんてね。


