「こなみ」
声の方に振り返ると、おじさん夫婦が立っていた。
「おじさん!」
神楽ちゃんと頼くんが気を利かせてくれたのか、座席取ってくると言って控え室から出て行った。
私たちの学校は、出演者に各部屋、控え室が与えられる。みんな持ってるものが学校指定のため、混ざったら困るらしい。
「ふふっ、こなみちゃんガチガチね?」
優しく笑うおじさんの奥さん、クロエさんは元モデル。子供はきっと美人だろうなぁ。
「こなみ、お前のデザイン楽しみだよ。それは前の衣装だろう?」
「おじさん覚えててくれたんですか…!?
そうなんです、今回は前回出てる者は前回のも着用して、そのあと今回の着るみたいで、もうなんか恥ずかしくて、しかも髪型も変えなくちゃで焦ってます…」
「お前のは毎回雰囲気が全く変わるからな。こいつにも手伝わせようか?」
「いあっ!?そんな…!クロエさんに頼むなんて…!」
「私はいいわよ〜。髪型ならモデルは自分たちでやってた時期もあるし、今も自分でやってるしね〜」
「じゃあ、頼んだな」
「はい、ツツジさん」
なんか進んでしまった。
「ありがとうございます!」
私はクロエさんに深く頭を下げてお礼を言った。正直間に合うか不安だったので、すごく助かる。


