堪えるくらいなら笑えばいいのに
笑うのに堪える意味がよく理解できない私は収まるのを待つことにした。
ある程度笑って落ち着いてきた彼は
「もう、大丈夫です…」
目尻に涙を溜めてはにかんだ。
「わっ。かっこいいですね…!」
「え…」
思わず口から出た言葉に彼は照れたようにありがとうと微笑んで、思わず私の口角も上を向いた。
私の中で、彼は不思議な人認定されました。
「あのベンチの荷物は君のですか?」
「はい!」
「じゃあ、隣いいですか…?このバラバラになった譜面も直したいので…」
彼は自分の失態を恥ずかしがるように、目を背ける。
断る理由もない。
「もちろん!」