「でもリサは生きてたでしょ?
君はなにがしたいわけ。
リサを連れて帰る?」
隣にいるコウから冷たい
オーラのようなものを感じる。
「当たり前だこのバカが。」
そんなの感じないのか、
ヒビトは嘲笑った。
「バカはどっちかな?」
コウも笑いはじめる。
「やめてっ…!!!!」
この雰囲気に耐えきれなくなって、
私は叫んでいた。
「ヒビト、私のためにありがとう。
でも、私は帰れないの…。」
そして、意を決して
花実のこと、今までのこと、
コウの家にいる理由を話した。
「というわけで、みんなを
守るためにここにいるの…。
コウは私たちを守ってくれて
いるんだよ。」
ヒビトは納得しない
といった様子だった。
「俺が守るからいい。帰ろう。」
「君もバカだよね本当に。
相手はヴァンパイアだよ?
君は人間だ。リサだって、
どっちにいるのが安全か
考えた上で行動しているんだよ?」
「ヒビト、私、本当に
帰れないよ…ごめんね…!」
私は本当に泣きそうだった。
せっかく助けにきてくれた
家族を追い返そうとして
いるのだから。
「リサの気持ちはわかった。
…コウさんだっけ?
二人で少し話したいことがある。」
コウと、ヒビトが二人で…?
「わかった、いいよ。
リサ、部屋戻ってて?
ミナト頼むわ。」
「コウ…ヒビト…」
「大丈夫殺したりしないから。」
そんなことわざわざ言われると
もっともっと不安になってしまう。
でも、これ以上はここにいたら
いけない気がしてミナトさんと
応接間を去った。

