「ヒビト…?!
なんっ…でっ…!」



驚きすぎてうまく話せない。

なにもあのときとかわっていない
ヒビトが座っていた。
まわりを執事さんが取り囲んでいる。




「リサ…!!!!!」


ヒビトは勢いよく立ち上がる。
それを執事さんたちが抑える。




「リサを連れ返しにでもきた?」



後ろからコウが入ってくる。


スタスタ歩いていってヒビトの
前の席に、机をはさんで腰掛けた。



「リサもこっちおいで?」


コウに呼ばれるがまま隣に座る。




「で?いいよ、君の話を聞いてあげる。」



コウの声が低い。
ヒビトを威嚇しているようだった。



「よくここがわかったね。」


そう、ヴァンパイアが住むところは
人間は詳しくは知らないはず。


「リサが家を出たあの日、
実はリサの後をつけたんだ。」




全く気がつかなかった…。
ヒビトにつけられていたなんて。



「お前が、リサを担いで
走っていくのを見て、もうリサが
帰ってこないことを察知した。
正直、リサは殺されたと思った。

やっぱり、あのとき、
力ずくでも止めておくべきだった
って本当に後悔した…。」




ヒビトが机を殴ってうなだれる。




「でも、リサが死ぬことなんて
考えたくなくて、お前が走って
いった方をがむしゃらにこの数ヶ月
探し回ったんだ。ようやく今日
見つけられた…本当に遠かったよ。
もし、リサが殺されていたら
本気でお前らを殺すつもりで
この家の戸を叩いたんだ。」



そして殺気をおびた目で
コウを睨む。




「すっごい執念…。
君がうちに近づけば近づくほど
ひしひしと感じていたよ。
もうすぐ来るなーって昨晩
思ったばっかなのにはやかったね。」




だから昨日 コウは私に
あんなことを言ったんだ。