ーーチリリン チリリン。
それは鈴の音。
ひとつじゃなく、無数の音が反芻し合って混ざり合う。
「な、なに……?」
困惑の色を乗せたmiaの声。
目が見えなくても私には分かる。
「……待ってたよ」
この音は、この音に乗って香る薫りは……。
「なんだよおねーちゃん。楽しそうじゃないか。ケケケッ」
届いた……私の声が届いたんだ。
風に乗って、空気を掴んで、届けてくれたんだ。
私の願いを聞き入れてくれたんだ。
ーー術者の想いに応えるかどうか……それは万物が決める事。無数にあるものがいつも応えてくれるとは限らない……。
けど、私の想いに応えてくれた。
この世界は私にとって優しいもので溢れてる。
ありがとうって、そう、心から思った。
「なーんか、ちょっと会わない間におにーちゃんすっかり変わっちゃったんだね。まっ、見た目だけで言えばおねーちゃんもだけど。ケケッ」