「なんだぁ? 下等生物が、お前もわざわざ同じ目に遭わされに来たのかよ」
そう言ってカモメの少年は白いつばさを上手く動かし、そばにあった石を掴む。
それを振りかぶり私目掛けて投げる素振りをして、思わず身を引いた。
あぶないっ!
……けれどそれが飛んでくる事は無く、かもめの少年の手をネズミの少年が掴んでいた。
「やめとけって。だってアイツ、ミアじゃね?」
ミア? って疑問の声を吐きながら、カモメの少年は私の顔をじっと見つめる。
すると手に持っていた石を落とし、尖ったくちばしで砂漠の地面に唾を吐き出した。
「けっ、ミアもどーせ人間だろ」
「でも一応ミアは元宮殿に君臨してたソーサレスだし。それに一応カモタケツ様も手を出さないし」
「つまんねー、あーシラケちまったぜ。何で今頃アイツがここにいるんだよ」
蔑むように、敵意を露にしながらもかもめの少年は足蹴にしていた男の子をもう一度強く踏みつけ、私に背を向けた。