『闇はその内明ける……明けた先にその子はいるわ……。見つけて……こっちへ戻ってきて……待ってる、か、ら……』


突然声が荒れ始める。

また声の主とのチューニングがズレはじめてる。


「待って、まだ聞きたい事が山ほどあるの! お願い、もう少しだけっ」


『……待っ、て、る…………』





ーーその言葉が最後だった。


私の周りは再び静寂を取り戻した。

と、同時に、ワンドの光も弱まり、フツリと消えた。


「ねぇ、もういないの?」


言葉を投げかけてみたものの、返答は無い。

正直返答があるとも思ってなかった。

けれどそう問いかけずにはいられず、言葉は口を突いて飛び出していた。


孤独な闇の中で、もう一度辺りを見渡す。


ーー闇はそのうち明ける。


声の主はそう言った。

だからその時を静かに待とう……。

どうせここで騒いだところで状況が変わるとも思えないし。