だけど、どうしてかカイトに気づかれてしまった。
「いっ、行ったよ? 治ってない?」
冷や汗たらり……。
ってか、なんでバレたの?
「嘘をつくな。服は治ってもその襟部分から傷跡が見えてるぞ」
「えっ、マジで?」
思わず背中に手を伸ばす。けれど何が残念って、自分の体が固すぎて手が背中に回らない。
そもそも傷口がどの辺りから見えてるのかも分からないんだけど。
「なんで治しに行かなかったんだ。さっきも言ったが、俺は元々治癒魔法は得意じゃない。だから応急処置程度しか出来ないんだ。自分で治すつもりならそれでもいいが……」
「そうだ! その手があるじゃない」
言われてハッとした。
そうだよ、自分で治せばいいんじゃない。
私には力があるんだし。
早速ワンドにお願いしようとした時、カイトは溜め息混じりに再び言葉を落とした。
「それでもいいが、それだと相当の力を使う事になるぞ。さすがにそれだけの余力はないだろう」
「ワンド、そうなの……?」
『……造作も無い』
「……造作無いって言ってるけど?」
「はっ……?」
カイトの呆気に取られた表情。
口なんてぽかんと開けちゃって。
なんて間抜け面。