けれど再び視線を向けた先にいるカイトはすでに立ち上がり、腰に差していた剣を抜いていた。
その瞳はもう虚ろでも、夢現な様子でも無い。
いつもの憎たらしそうなカイトの表情だ。
「さぁ、休憩は終わりだ。戻るぞ」
そう言って、目の前に広がる何も無い空っぽの空間をその剣で切り裂いた。
切り裂かれた空間の隙間から覗くのは赤と黒のペイズリーに似た模様だった。
その中に足を踏み入れようとするカイトを、思わず引き止める。
「えっ、ちょっと待って。出口って……そこ?」
「なんだ、不満か?」
「いやそうじゃなくって……」
思わずチラリと後ろを振り向いた。
そこにあるものを確認するために。
「この扉は? 出口じゃないの?」
「それは違う。それは出口なんかじゃない」
「なら……」
なら、この扉はどこに繋がりどんな世界が広がっているの?