ショートカットと言ってカイトが私を宮殿の中へ誘った、高い天井から身を投げ出されて死ぬかと思っただだっ広い場所だ。
するとそこへ。
「ミア様!」
カツカツと足音を響かせてやって来たのは、白い騎士の服に赤いマントを靡かせたカイトだった。
そのカイトが私目掛けて駆けてくる。
これはデジャブだろうか?
カイトと初めて会った時に見た反応と同じものだ。
また私をミア様なんて聞き慣れない呼び名で、違った発音で呼ぶ。
さっきまでとは違い、カイトの背丈は私の知るそれだった。
今度こそ本物のカイトだろうか……。
この意識の中に閉じ込められている、私が救いに来た相手だろうか。
そう思いながら、足を止めないカイトに向かって口を開いた。
「だーかーらー、私は……」
「……カイト、その呼び方はやめてちょうだい」
言葉に割って入ってきたのは、同じく私。
彼女は背後から現れ、全身を黒いドレスに包まれている。