造形物でも見るようにカイトを見やり、やがて言葉を放つ。


「……そうね。この世界では人間は下等と蔑む傾向があるのは確かだわ。けれど、多種の生き物皆が思っているわけでも無い。それは一部で、そういう過激な輩がいるというだけ」

「いいや大半がそう思っている。俺達は不当な扱いを受けてきた。だからこそ俺は、俺を馬鹿にする奴らを見返し、仕返してやるんだ!」


ギリリっ、と奥歯を噛む音が聞こえそうなほど、カイトは憎み、叫ぶ。

けれど、それでもミアは冷静だった。


「そう……いいじゃない。見返し、仕返ししてやればいい。力を持って。強くなって。

……けれど、やり方を間違えてはいけない」


再びカイトの正面に立ち、ナイフを突き出すカイトの手を掴み、言った。



「あなたの持つ誇り、それをあなた自身が汚してはいけない。憎しみと悪の心は常にあなたの誇りすら汚す毒になる。それを決して汚さないで、曇らせないで……」



そばで見ていれば分かる。

ミアの真っすぐな心と、強い精神が、とても魅力的なオーラを纏い、揺るがない。

やはり、一目見た時のインスピレーションは正しかった。

やはり彼女は周りの空気を浄化させる力があると思う。

濁りを全て取り除き、元の澄んだ空気に、水に、変えてくれるような……。


端で見てる私でもそう思うのだ。

そばで、面と向かって真っすぐに見つめ合うカイトは、きっともっとーー。