意外にも瞼は軽く、私を新たな世界へと誘った。
見開かれた世界は闇の中。
それは予想外の場所だった。
陽だまりの中で寝ているような気持ちだったためか、それとのギャップが予想外だった。
私の右手には杖がしっかりと握られていた。
それは闇の中でふんわりと赤く淡い光りを放っている。
その杖がそれを握る手と脳を揺さぶった。
『……汝が求めていた場所……意識の底……』
「じゃあ……ここがカイトの意識の中」
誰に言うわけでもなく、ただ、言葉が口からこぼれ落ちた。
杖を掲げ辺りを見渡す。
ほんのりとした星よりも弱い光りはうっすらと辺りを輝かせるが、やはりそれも闇に飲み込まれる。
(何もないんだね……)
なんだか少し寂しさを覚える、闇。
けれど恐怖は一切感じられない。
『……いいや……ここは意識の最下層……何も無いことはない……』
(どういう……)
そう思ったところで、私のちょうど右隣でふわりと浮き上がる影。
「……扉?」