「使い魔を呼べとは言ったが、本当に呼び出せるとはな。しかも呼び出したものが魔人、イフリートだとは……」
「……なっ! 本当に呼び出せるとは、って……」
やっぱりコイツ私には無理だと思っていたんだ。
賭けに出てみたどころか賭けてすらなかったんじゃない!
「しかも呼び出しただけではなく、イフリートを従えた。相当な力の持ち主でなければそれは不可能だ。そんな力の持ち主で、姿までミア様に似ている……けれどミア様ではないというならば、お前は一体何者だ」
「何者って……ちょっとっ! やっと話を聞くようになったと思ったのに、また質問攻め!? 違うでしょ。私はアンタとの約束は果たしたんだから、今度はアンタが私の問いに答える番のハズでしょ?」
腰につけた剣の鞘に手を置くカイトに対し、私は地団駄踏んで抗議した。
もう今の私には怖いものなど無い。
さっきの勝負で死ぬかと思う瞬間を何度も感じて、覚悟も決めた。
だからカイトだって怖くない。
むしろ海斗そっくりなヤツに何をビビる必要があるのか……という答えに行き着いた私は、最強の気分だ。
「とにかく戦って服もボロボロだし、傷は治ったけど水浸しだし、髪の毛はバサバサだし……話はそれからでもいいでしょうが」
そう言ってカイトに歩み寄った。
一歩も引かない私を睨みつけ、カイトは探るように見つめ返した後、背を向けて静かに歩き出した。
「……ついて来い」
言葉短く、そう言って。