畑の隅にある、小さな一角。
一般生徒はあまり立ち入らない、きのこ栽培用の原木のある場所。
適度な湿り気のある森のようなそこに、好んで入るのはきのこ部ぐらいか。

教師でさえ、滅多に来ないようなところに、何故か大人が数人集まっている。

(なんなんだ?)

思わずジャガイモを掘り起こす手を止めそうになったが、見ていることを悟られたくない雰囲気だったため、意識だけそちらに向け、あくまでも気付かないフリを通す。

人数は、恐らく4人。
チラリと見えた顔は、全員この高校の教師だった。


(こんなところに、教師が何の用だ?)


談笑というよりは、悪だくみのような。
教師が学園祭の片隅で悪だくみとは、穏やかではない。

このことは心に留め、とりあえずジャガイモを持って戻ろう。
教師達が気にはなったが、瑛はつい掘りすぎたジャガイモをカゴに入れ、ジャージの土を払って歩き出した。