植え込みの根元で何かを探しながら、瑞希はシメジの歌を歌っている。
子守りというより、ただ見守っているだけで、時々話しかけてくる瑞希に、相槌を打つだけだ。
一人遊びが得意なのか、そう手はかからない。


「しめじさーん
 おいしーしめじさーん♪」


瑞希の歌を聞きながら、模擬店の方を見る。
人だかりはあるが、「サインくださーい!」とも聞こえるので、食中毒よりも有名人の効果のようだ。
少しだけ肩の力が抜けた。

しかし、安心したのも束の間。

遠くから、サイレンが近付いてくる。
この音は警察か。

今まで、きのこ部とは全く関わりの無かったまりあだが、放っては置けなかった。
父親が当事者に程近い位置にいたせいで、肩身の狭そうだった瑞希を見たら、どうしても。