万里は嫌な予感がした。
瑞希の手を離して、抱き上げる。


「瑞希さん、ちょっとお父さんの用事に付き合ってください!」


真剣な父の顔に驚きながら、それでも自分が怒られているわけではなさそうだと、瑞希は安堵する。


「おやつのふわふわは?」

「後で行きます。すみません、お付き合いください!」


返事を待たず、瑞希を抱き上げまま、万里は走り出す。
15キロの娘は重たかったが、どうにも早くきのこ部に行きたい。

真面目な彼らが、間違いをおかすとは考えられず、何かの間違いだろうと思っている。

彼らの人となりは、何度もかわした手紙で、よく知っているつもりだ。

食中毒で廃部など、絶対にあってはいけない。