およそ30分前。

留学生でまりあのクラスメートでもあるオーランドが、一人の迷子の手を引いて、瑛の所へやってきた。

瑛の所といっても、ちょうどまりあのクラスの模擬店に来ていたので、正しくはクラスに戻って来ただけだ。


目立つ金髪、異国の青い瞳。
その左側には、不安そうな幼い女の子。

まだ幼稚園にも通っていないだろうと、瑛はなんとなく思った。


「ちょ‥‥オーリィ!犯罪に手を染めないで!!今ならまだ間に合うから‥‥」

「誘拐ちゃうわ!迷子やっちゅーねん!」


清良に非難されながら、オーランドは女の子を前に出す。

泣いた後のような、真っ赤な目。
落ち着いた色ながら、地味ではない服装。
髪は不器用にもポニーテールにしてあり、後れ毛が出ているものの、可愛いとその場の誰もが思った。