『秋斗、真冬…。』
「秋斗くんっ、真冬くんっ
な、なんで…ここに……。」
「…お前ら何してんだよっ!!!」
パリーンッ
秋斗はトイレの鏡を拳で殴った。
女の子はそれだけでもう震え上がった。
「!!!
わ、私たちはただ……、来宮さんと…お、お話をしてて…」
ぐいっ
「お前らふざけんのもいい加減にしろよ?」
秋斗はリーダーの女の子の
胸ぐらを掴みあげた。
「どう見てもそんなふうには
見えないんだけど。
…千夏、大丈夫?」
真冬は床に倒れていた私を
起き上がらせてくれた。
「お前らはクズだ。
千夏に手出しやがって、
お前らも同じ思い味わらせてやるよ。
」
秋斗は女の子を殴ろうと腕を振り上げる。
真冬もそれを
冷ややかに見ていた。
『秋斗やめて!
…殴っちゃだめだよ!!!』
そんなことしてほしくないと思ったんだ。
秋斗は私の言葉に反応して
動きを止めてくれた。
「…こいつらは
お前をそんなになるまで傷つけたんだぞ?」
わかってるよ。
確かにたくさん傷つけられた。
でも、でもね…
『…その人たちは
ただやり方を間違えただけだよ。
邪魔者が出てきたときの
対処法をちょっと間違えただけ。
私なら大丈夫だよ。むしろこの人たちに勝てたって思ってるくらい。』
「…来宮さん……。」
秋斗は女の子の胸ぐらから手を離した。
「今回は千夏に免じて許してやる。
でもな、次同じようなことをしてみろ。ただじゃおかねぇからな!」
「…他の人にも言っといてよ。」
秋斗と真冬はそう言い放った。
女の子たちは二人の言葉に
大きくうなづき、私のほうをみて
涙ながら謝ってくれた。
それ以来、
いじめはなくなった。
