妖精と彼女【完】









「悠ちゃーん、こんばんはー!」





その人物、トウはガラス戸越しに笑顔で挨拶してくる。





そして勝手にガラス戸を開けて上がり込んでくる。
普段から、ガラス戸にはしっかりと鍵をかけているんだけど……



そこを開けられるのは『自分が妖精だからだ』とトウはいつもドヤ顔で語っている。






そんなドヤ顔の不法侵入者は、いつもの笑顔であたしの部屋に手慣れた様子でベッドに座る。






「今日家にいたんだねー、てっきりお祭りに行ってると思って今日は遠慮してたんだけどさー」





「…家にいたとしても遠慮して来ないでほしいんだけどねー。」





「何で?好きな子に会いに来ちゃいけないの?」





不法侵入しておきながら、悪気もなくこの言い分。
妖精には「常識」ってもんはないんだろうか?





「そーゆーのは玄関からちゃんと訪ねてきて初めて言えること!!」





「んー…そーゆー手間を省けると思ってお隣さんに住んでるのになぁ」





なんて言いながら首を傾げている。
初めて聞いた話だったけど、やっぱり狙ってお隣さんに入りこんだらしい。
どうやら彼に「常識」はない。

…残念ながら。