妖精と彼女【完】






いつもの観賞のお供を準備しようかと部屋を出た。
廊下には偶然同じように部屋から出てきた弟、愛の姿があった。





その服装はそよ行きで、アクセサリーもつけている。弟はどこかに出かけるんだろうなぁと思った。







「あ、姉さん。」




「愛、どこか出かけるの?」






愛は表情は変わらないものの、声のトーンを聞くからには憂鬱そうだ。
視線も伏し目がちで、あまり気乗りしている感じではなかった。





「……友達に祭りに誘われて。」




「祭り?」





そんなものあったかな…?とふと思い返す。
そういえば、銭湯に近所の神社で行われる祭りのポスターを貼っていた気がする。




「あぁ、あれって今日だっけ!?」




「…うん。お前が来ると女のコが沢山来るからって………行きたくない。」





本気でゲンナリした顔をした愛は、仕方ないといった様子で出かけるようだった。





「…?そんな行きたくないんなら断れば良いじゃん。」





あたしの発言を聞いて、愛は非難するような視線を向けた。
何か言いたげな顔をしている…。




そしてため息をついて愛はボソボソとボヤきだした。




「『断るならお前の姉さんを紹介しろ』って言ってるんだから、断るなんて無理だろ……ただでさえトウくんがいて面倒なのに……」