妖精と彼女【完】








そう言うと、トウは明るく笑った。
それはいつもと変わらない様子だった。






「ははっ、そうだよねー。俺も死んだことないし!」







「……………」






あたしの冷たい視線に、トウはいつものように悲しげに震えていた。

しかし、すぐシリアスな表情に戻った。







「でもね……この先の未来で、悠ちゃんに大切な人が出来た時には…俺は身を引くよ。だけど、俺は悠ちゃんを待ってる。」






「は!?大切な人って……」








さっき告白したばかりなのに、トウはあたしが心変わりすると思っているらしい。

とっさに言い返そうとすると、トウはあたしに背中を向けた。








「じゃあね…悠ちゃん。……素敵な誰かと幸せになれますように」







「はぁ!?…ちょ、待って……」








トウが薄くなっているように見え、だんだんと透明になっていく。

あたしは手を伸ばしても、彼はもう手を伸ばすことはない。








そして、彼は白い空間に消えた。














………彼は、自分を選んでほしいと言っていたのに。
誰かと一緒にいることで幸せになってほしいと言った。



どちらも、間違いなく彼の本心なんだろうと思う。











だけど、あたしの心は決まってるんだよ。
そして、それは「変わらない」んだよ。



そう、言いたかったのに。









トウが消えた後、急に目の前が真っ白になって…なにも見えない。

ただ一つ、分かっているのは……もう次に目が覚める頃には、トウに会えないこと。







右手に、まだ彼のぬくもりが残っているような気がした。