あたしは、全てを聞いて大きな衝撃を受けていた。
彼は、ハッキリと言わないものの、あたしの隣を去ろうとしている。
そして、あたしはそれを止めることは出来ないのだと分かっていた。
トウは、別れを目の前にして笑顔だったけれど、その笑顔は完全に引きつっていた。
「ごめんね…悠ちゃん。手は数日で治ると思うから…」
「ううん。痛みもないし、平気だよ……」
「ごめんね……俺、最後までこんなことしか悠ちゃんにしてあげられないんだね。」
「……………」
やっぱり。
これが、最後。
「俺ね、悠ちゃんのこととっても好きなんだ。ずっと傍にいたいけど、全ての温泉を豊かにするのが俺の仕事。」
「……………」
これが、最後。
あたしの気持ちは…?
伝えなくて良いの…?
トウは、黙り込んだあたしに気を遣ったらしく、優しく語り出した。



