空には大きな花火。
大きな音と、とても壮大で美しく儚い光。
形を変え、色を変え、空を彩る。
「………キレイだね、」
そうつぶやくトウの声が寂しげに聞こえて、あたしはトウの方に目を向けた。
トウは、優しく微笑んでいた。
「花火っていうのは、いつの時代も変わらず良いものだね。」
「ぷぷっ、おじいちゃんみたいなこと言うね。……っていうかいつの時代の花火と比べてるわけ?」
本当におじいちゃんみたいなことを言うから、あたしはつい吹き出してしまった。
そう尋ねると、トウは少し困った顔をした。
「悠ちゃんが生まれるずーっと昔だよ。花火は江戸時代から続いてる文化なんだよ。」
「へぇ…うちの銭湯が明治時代からだから……花火ってすごいね。古き良き文化ってやつ?」
「本当に、そう思うよ。この世の中には変わってしまったものが沢山あるけれど…。花火は変わらなくて、ホッとする。」
そう話すトウは花火を見つめている。
時々花火の明かりで、その横顔が悲しそうに浮かび上がる。
あたしは胸が締め付けられるような思いがした。
なぜ、彼が悲しそうな顔をするのか……わからない。



