妖精と彼女【完】











花火会場までは歩いて向かった。







途中、2年前に行ったお祭りを通り過ぎた。
変な人に絡まれたところを、トウが助けてくれた場所。






時間があれば、後でお祭りも寄ろうか…なんて話しながら会場までやって来た。






空は沈みかかり、薄い水色の空から濃紺の空へのグラデーションが美しかった。






花火会場は海沿いで、潮の香りがする。
トウは目に見えるもの全てが新鮮だったみたいで、とてもはしゃいでいた。






あたしは、人混みがあまり得意でらないと言っていたトウのために、人が少ない場所を探した。




いわゆる穴場を見つけ、二人で花火開始時間までを過ごした。









何気ない会話をするのがとても楽しくて、時々トウのテンションがおかしい時もあったけれど…
まぁそんな変な奴の相手するのは、悲しいことに慣れたものだった。







トウとじっくり話す時間、というものをよくよく考えると作ったことはなかった気がする。








今までしたことのなかった温泉談議を始め、トウは温泉の妖精らしく成分や効能を語り出した。




実家が銭湯であり、銭湯や温泉を愛するあたしにとってはとても好きな話題だった。
同い年くらいの友達とは出来ない話題だったから、とても楽しかった。





トウとこんなに盛り上がる共通の話題があるんだったら、昔から話せば良かったとさえ思った。









座り込んで会話に熱中して、気がつけば花火開始の時間になっていた。