妖精と彼女【完】













「花火に行くとは聞いたけど…トウくんと行くの?」




「え…?え、えぇ……まぁ…」








実は、トウと花火に行くことは誰にも言ってない。
恥ずかしいから。


あくまでも秘密にしたかったとかではない。







そんな姉弟のやり取りが聞こえないようで、トウは家の門の外から愛に向かって手を振り続ける。





「愛くーん!俺、今日悠ちゃんと花火行くんだ、花火ー!!」







愛は、その声の主を冷たく見やり、あたしに視線を戻す。






「……アレが俺に会った時に暴露しないとでも思ってたの?俺に何でも話してくるんだけど。」






「……愛に会えばあのバカは言っちゃうと思ってました。い、いや…でもね、あたしは恥ずかしかったから愛に言えなかっただけだよ。…ごめんね。」





「………」





愛は、ちょっと寂しそうな目であたしに何か訴えるように見ていたけど、ふと和らいだ。





「…姉さん、楽しんできてね。」



「……ありがと」







そう話すと、愛は家の中に戻っていった。
トウがどれだけ背中に向けて話しかけても、無視を決め込んで。