妖精と彼女【完】










家に戻ろうとしたところ、玄関のドアが内側から開いた。



その先には、あたしのバッグを持った愛が立っていた。
いつものポーカーフェースのままだった。





「あ、愛!ごめん、あたしバッグを忘れて…」





「うん。忘れてたみたいだから……」








どうやら、愛はあたしがバッグを持ってくるのを忘れたことに気づいて、外まで持ってきてくれたらしい。





愛からバッグを受けとる。








「ありがと………、愛?」






お礼を言う時に、愛があたしを見ていないことに気がついた。
もっと遠くを見ているように見える。
……一体何を…………








あ。











「トウくん………?」







視線の先で、愛に名前を呼ばれたトウは、愛に気づいてブンブンと大きく手を振る。




その様子を見た愛の目が一気に冷たいものになる。





「……姉さん。」




「は、はひっ!」




愛のあまりに冷たい声に、あたしの声が裏返る。