妖精と彼女【完】












「そうそう!最悪しゃべれなくなっても花火見てれば良いじゃん」




「あー………」






多分、トウが黙ってることはないだろうけど。
むしろ花火を見てる間くらいは黙っててくれたら嬉しいレベル……





そう心の中で願うあたしに、彩音はニッコリ笑いかける。






「じゃあ花火で、提案してみたら?」





「………うん。そうしてみる。」







「あっ、そーだ!相談乗ったんだから、行ったらちゃんと報告してよね!」





「うん。……ありがとね」







あたしの行き先案が無事決まったところで、彩音は午後からの講義の準備があるから…とテーブルを去った。






一人になったテーブルで、あたしは手帳に開き、「花火」の2文字が書き込んだ。


その文字を見て、ふとさっきのことを思い出す。







トウは、花火を見たことがないんじゃないかと思ったから。
花火にしてみたらどうかと思った。



今度会う時にでも、提案してみよう。












「…アイツ、なんて言うかな……」









ますます、夏が待ち遠しい。